理系Sの牝奴隷には言えない話
元、”御主人様”だったvetのSMに関するいろんな話。
はじめに

 いらっしゃいませ、とでも書くべきだろうか。とにかく、あなたが見に来てくれたことは素直に嬉しい。ありがとう。

 このブログはSM、男女の主従関係に関することを主に取り上げて書いている。なので少しアブノーマルだ。だから、初めてこのブログを訪れた人は、右側の欄の”このブログについて”をまずは読んで、それに同意できた場合のみ、読み進めて欲しい。

 また、このブログ、少々ややこしい構成になっている。そのあたりも説明してあるので、それも理解してから読んでもらえればと思う。説明を読んで問題がなければ、二度目以降からは以下のエントリーを好きなように読んでもらえればそれでOK。

 AVや他の本格的なSM系サイトなどとは、多少違った視点からのSMの世界を知ってもらえれば、幸いだ。特に読者を指定するつもりはないが、御主人様を探しているM女などにはSMの実態を知るということで、参考になるのではないかと思うので、御主人様を選ぶ前に、SMの世界に飛び込む前に読んでもらえれば嬉しく思う。

 私への意見や質問、相談、その他の話などがある場合には、右側の欄の中段あたりにある”管理人、vet宛メール”のところのリンクから、メールフォームにいき、メールを送っていただければと思う。メールフォームは2つ用意してあるが、どちらから送ってくださっても構わない。また、各エントリーのコメント欄に書いてくださってもいいので、気軽に話しかけてくれればと思う。


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私が、過去のいくつかの主従関係を思い出して、横断的に考えたとき、主従の形というのは、その時の奴隷によって、また、私自身の経験やその時の考え方によっても、かなり違っていたなということを、ふと思った。

もちろん、私の根本的な部分というのは、変わっていないと思う。

SMという面で言えば、中心には、S性という性癖が、あって、それを様々な形で、奴隷にぶつけるという姿勢。

また、精神面で言えば、奴隷に対して、大きな想いを寄せてしまうタイプ。

奴隷のことを、ちゃんと受け止めたいし、守りたいし、包んでやりたいし、好きになりたい(こういうことを書くのは照れくさいが…)。

それは変わっていない。

でも、私の主従関係を、今の視点で見ると、時期によって、また奴隷によって、かなりの違いがあったのだなと思える。


徐々に変わっていった部分がある。

それは、おそらく、奴隷によって変わったのではなく、私の主従経験が増えたことや考え方の変化によって、変わった部分だと思う。

前にも、何度かブログに書いたような気がするが、初期には、”御主人様であること”を重視した(守ろうとした)、それこそ、”SMらしいSM”をすることに血眼になっていた気がするが、

後になるほど、自分がしたいSM、自分が満たされるSMをするようになっていたような気がする。

それだけ、経験を積んだことで、余裕が生まれたということなのだろうと思う。

また、他の御主人様が何をしているか?とか、一般的なSMや主従のイメージを、あまり気にしなくなっていったという、私の考え方の変化もあるのだと思う。

こんな視点で、初期の奴隷との関係、後になってからの奴隷との関係、を比べると、明らかに、主従としてのあり方、形は違っている。

かなり大きく違うように思える。

それが、私の変化(経験や考え方)による、奴隷への対応の変化だと思う。


これとは、別に、もう一つ。

徐々に変わったのではなく、奴隷ごとに、変わったものもある。

初期は、「奴隷に合わせて、御主人様が変わる」ということ自体、御主人様としての一貫性がないというか、奴隷に引っ張られ、左右されているということなので、良くないということを思っていたから、奴隷ごとに変わるということを、頑なに恐れ、そうならないように、肩肘を張っていたような気がする。

「私は絶対に変わらず、奴隷が、私に合わせるのだ」

そんな、信念のようなものが、私の中にあった。

今でも、それは、私の中にある。

奴隷は、御主人様に合わせて、御主人様の満足のために、自分を変えていく存在だというのは、今の私も思う。

でも、それは少し形を変えて、存在している。


過去の奴隷との関係を、今、考えてみると、奴隷に影響されて変わった部分が、無かった、なんてことは、言えない。

私は、奴隷が御主人様に合わせて変わるものだと、思いつつも、奴隷に合わせて変わった、自分の部分があることを、認めざるを得ない。

そして、そのことが、不快ではない、むしろそれで良かったのだとすら思っている。

奴隷が、私との主従関係に、満たされ、幸せな気持ちを持てるようになるなら、私は、自分が変わることなど、些細な事だと思えるようになっていた。

いつの間にか。

それは、私だけが奴隷に合わせ、奴隷を変えないという意味ではないし、ましてや私の根幹の部分を捨て去り、ポリシーもプライドも捨ててしまうという意味でもない。

奴隷には、私の好みに合うように、躾をするし、調教をして、変えていく。

それは、初期の頃と変わらない。

でも、同時に、私も変わったということが、今ならわかるし、素直にそれを認められる。

例えば、主従の度合い。

それを表現するには、いろいろな要素が絡み合うから、全部列挙して、比べることは難しいが、ザックリと、1から10までで、度合いを決めてみてもいい。

限りなく、恋愛関係に近い(主従の世界の人からすると、”甘い”)主従関係を”1”とし、猛烈にハードで、奴隷の体や心の健康すら顧みないような(”厳しい”)主従関係を”10”としてみるような、関係の度合い。

その時、関係を結んだ奴隷によって、私の中の、この度合いは、変わっていたように思う。

SMや主従関係が未経験の奴隷で、M性についても、どのくらいなのか、まだはっきりと断定できないような場合には、私は、おそらく、この度合いの2くらいから、その奴隷との関係を始めていたように、思う。

恋愛的な要素もありつつも、主従として、最低限、押さえるところは押さえておくような感じと表現すればいいだろうか。もちろん、そんな風にしていると悟られるのは、嫌だという、御主人様プライドがあるから、隠してはいるが。

そこから、奴隷の様子を見ながら、また、奴隷に主従経験を積ませながら、徐々に私も、奴隷とともに、この度合いの数値を上げていくような主従関係というのも、私はしてきたなと思う。

また、主従経験があり、過去に調教されたことがある奴隷には、いきなり8くらいから、始めたようなことも、あった。

そして、奴隷の性格や、私との主従関係に望んでいたこと、M性の強さなどから、6とか、7くらいの主従関係をしていたこともあったと思う。

恋愛と、一番ハードな主従の中間が5だとするなら、私はどちらかと言えば、厳しめの主従をすることが多かったと思うから。

こんな、単純な尺度だけで、主従関係を表現するのは、無理があるとは思うし、この度合い以外にもたくさんの要素があるのだが、奴隷に影響されて、私が、どんな主従関係にするかを、変えていたことの一例として挙げるならこんな感じか。

そして、このどんな場合の時であったとしても、私は、その主従関係を楽しんでいたし、幸せに思っていたことは、確かだ。

これは、奴隷に影響されている、もっと言えば、奴隷に合わせているということになるのかもしれないが、それでも、私は、良かったのだと思う。


私の中での優先順位は、最初、「自分が御主人様であること」、だったのだが、そのうちに「奴隷が幸せであること」に、なっていたように思う。

それでよかったと今は思う。

そういう風に思えるようになった自分にホッとしている。

そして、奴隷が幸せだと、私が、感じられた時、私の満足感というのは、とても大きくなった。

それは、私がその奴隷の”御主人様”であることに、大きな意味を持たせてくれた。

遠回りかもしれないが、そのことで、私は”御主人様”であることを、前以上に、誇らしく、また自分が御主人様であることに自信を持って、幸せで居られるようになったような気がする。


関係というのは、どこまで行っても、当事者同士で作るものだ。

それが主従であっても、御主人様と奴隷で作るものだ。

決して、御主人様だけで、作れるものではないと、私は思う。

もちろん、御主人様が主導して作られることが、ほとんどだと思うし、私も、私が主導することだと思ってはいるが、奴隷の存在を無視して、自分だけでできるものではないと思う。

だから、私の経験や考え方の変化によって、そして、何よりも、自分の奴隷によって、主従の形というのは、作られていくものなのだろうと、今は思う。

主従の形を、奴隷とともに、私も奴隷も幸せになれるように、作っていくことを、今の私は恐れないでいられる。

自分が、変わることも、恐れてはいない。

変わったとしても、私は、御主人様になれると思える。

というよりも、私は、御主人様にしかなれないということを、嫌というほど知っている。

何をしたところで、私は、結局、御主人様になってしまうのだと思う。そういうものなのだと思う。

それは、Sであるから、なのかも知れないし、私が、そういう関係しか作れない性格だからなのかもしれないが、そんな自分を、とても、おもしろいなと思う。

これからも、主従をやるなら、その形は、奴隷の影響を受け入れて、変わるのだろうと思う。

恋愛に近いのか、ハードな主従に近いのか。

ただ、どういう形だったとしても、やっぱり、私は、”御主人様”に、なるのだろうなと思う。

そして、それに、心満たされるのだろうなと思う。

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前回、”主従の形”というエントリーを書いたが、それについて、私の書きたいことがうまく書けていないような気がしたので、補足する。

あのエントリーで、私が書いた、主従の度合いについてだが、確かに、限りなく恋愛に近い主従を”1”に、最もハードと思われる主従を”10”にする、というのは、やっぱり大雑把過ぎて、わかりにくいようだ。

というよりも、私が言わんとしていることを、表現するには、微妙な表現方法だったかもしれない。

この度合い、色々な主従の形について、分かっている人にとっては、それはそれでいいと思うが、主従の形が様々に存在するということについて、経験や、見聞きしたことがない方にとっては、分からないのかもしれない。

なので、もう少し、私の経験からの具体例を書こうと思う。


例えば、奴隷が風邪をひいたとする。

初期の私なら、以下の様な感じの対応をしていたことが多かった。

奴隷が、「御主人様、風邪をひいてしまいましたので、明日のご調教のお約束はキャンセルさせてください。申し訳ありません」

なんて、言ってきた場合、私の反応は、

「そうか」

という一言で終わりだった。

奴隷に、いたわりの言葉をかけるでもなく、ただ、調教が無しになったということだけについて、了解した旨の返事を返す。

こんな返し方をしたから、奴隷は、私が怒っているのではないかと、心配になったりしていた。

私は、風邪なら仕方がないし、具合が悪いのに無理をさせるつもりもないから、別に怒ってはいない。むしろ、しっかり休めと思っていたのだが、「そうか」とか、「わかった」とか、そんな一言では、私の機嫌など、奴隷に伝わりようがない。

だから、この後、「お時間を空けていただいたのに、本当に、申し訳ありません。すみません…」

というような、平謝りのメールを奴隷が送ってきたりする。

そして、私は、それを見ながらも、何も返さない。

なんて、感じだった。

奴隷に、「気にするな」とか、「体を大事にしろ」とか、そういう言葉をかけないことが、御主人様”らしさ”だと思っていたところが私にはある。

初期のころの私は、こんな感じだった。

そういう、奴隷に対する、ぞんざいな扱いというか、必要な言葉すら与えないのも、主従関係の一つと思っていた。

これは、前のエントリーで書いた、1から10の度合いとは、また別のことだろうと思う。

恋愛関係でも、相手の女を心配する言葉をあまりかけない男は、いるだろう。

また、ハードなことをする御主人様でも、奴隷が風邪など、SMとは別の要因で弱っているときには、それを気遣う事はあると思う。

だから、1から10の度合いだけで、主従関係を語るということ自体が、まず、無理のあることだと思う。

前回のエントリーで、あんな書き方をしたのは、こういう風に、違う要素を入れると、本当にややこしくなるから、スッキリと書きたかったということだ。

ただ、あれ以外の要素は、主従にはないと、思われてしまうと、私の意図とは違う。

ちなみに、後からの私は、主従関係でありつつも、SM的なことと、そうではないことを、分けるようになっていった。

というよりも、私自身のS性というのが、どのような状況に反応するのか?が、かなりはっきりとわかったから、それに合わせるようになったということだ。

つまり、SM行為で、奴隷が苦しむ姿に、私は快感を覚えるが、それ以外の時に奴隷が苦しむことに、快感を感じていないことを、私は自覚した。

だから、SM行為の時に、苦しむ奴隷に、気遣う言葉をかけることはないが、風邪をひいた奴隷には、それなりの言葉をかけるようになっていった。

「しっかり休んで、早く治せ」

なんて、言うようになった。

でも、奴隷が、

「御主人様に、そう言っていただけて嬉しいです!」

なんて、言ってくると、途端に照れくさくなったから、

「風邪をひいた奴隷は、使いものにならない。早く使えるように戻せってことだ」

などと、また、あまのじゃくなことを、言ったりしていた。

それでも、奴隷に対して、体を大事にしろということは、口に出して伝えるようになった。

これは一例だが、こういう部分も、時間とともに、変化していった。

主従の形という意味では、これも変わった部分だと思う。


また、奴隷によっての違いということでも、一つ例を書こうと思う。

ブログを全体的に読んでいる方なら、もしかしたら、気がついているかもしれないのだが、例えば、”話をする”ということについて、奴隷によって、対応を分けていたなと、思い出す。

自分からよく話す奴隷がいた。

私が何も言わなくても、会った時や、電話なんかで、

「今日、食べたランチがすっごく美味しかったんです。今度、御主人様と一緒に行きませんか?」

なんて言い出して、食べ物の話から、どんどん会話が広がっていったりする。私が何も言わなくても。

そういう奴隷が相手だと、私は、

「ああ」とか、「そうか」とか、「良かったな」…

なんて、言葉で返していたことが多かった。

私から、何かを話すことは、少なく、奴隷が、私に質問でもすれば、それに答える、というくらいの対応。

とはいっても、奴隷が、楽しそうに話をする姿を見ているのは、とても楽しかった。

嬉しそうに、私に話しかける奴隷を、とても可愛いと思っていた。


でも、なかなか、自分から話をしない、引っ込み思案なタイプの奴隷の場合には、私が、話をふることが多かった。

喫茶店なんかに入って、飲み物の注文をした後。

奴隷が何を話すでもなく、ただ俯いている。

そのままにしていたら、店を出るまで何も話をしないで終わる。

そんな奴隷。

そのとき、口を開くのは私の方だった。

「昨日の休み、何してた?」

私も、そんなに話題が豊富なわけではないし、女性との会話がうまい男のように、気の利いたことを言えるわけでもないから、こんなことを聞くことが多かった。

それに対して、奴隷が答える言葉は、やっぱり、多くはない。

「お部屋の掃除をしていました」

「綺麗になったか?」

「はい」

これで、終わりだったりする。

また、沈黙。

そして、その沈黙を破るのは、やっぱり、私だった。

また、なにか聞く。奴隷と二言三言話をして、また、沈黙。

その繰り返し。

こうしないと、会話が成立しないから、必然的にそうなったということでもあるのだが、奴隷と、分かり合いたい、奴隷のことを知りたい、奴隷を理解し、ちゃんと受け止めてやりたい、という気持ちが強くあったから、奴隷に話しかけることが増えたのは、自然な成り行きだったのかもしれない。

でも、そんなことをしているうちに、ちょっとづつだが、うつむき加減の奴隷の頭が上に上がってくる。

それが、私には、嬉しかった。また、この上なく、愛おしかった。


奴隷と話をするということ、一つをとっても、こんなふうに違いがある。

奴隷によって、私が対応を変えた部分。

これも、奴隷の違いによる、主従の形の違いの一例だと思う。



全部は書ききれないのだが、こんな例は、山ほど経験した。

時間的に、また、私の考え方の変化によって、変わっていったこと、奴隷によって変わる(変える)ことは、たくさんあった。

主従の形というのは、こういうことから、作られていく。

私は、これまで、何人かの奴隷を持っているが、一つとして、同じ主従の形を持ったことは無かった。

そして、同じ奴隷に対しても、時間が経つことで、変わる事もあったし、奴隷の側も変わっていくから、それによって、変わる事もあった。

本当に、主従の形というのは、様々だと思う。

恋愛の形が、様々なことと同じように、主従も、決まった形だけがあるわけではない。

今の私が、初期の頃の私に、言いたいことがあるとすれば、このことだ。

一般的に思われている、主従のイメージに無理やり合わせようとする必要はない。と。

もちろん、信念や、プライドを捨てろとは言わない。むしろ、それは持っているべきだ。

自分が作りたい主従にとって、大切だと思う部分は、そのままに持っていていい。それを無理矢理に曲げる必要はない。

でも、主従の形は、様々であり、それを作るのは、御主人様だけではない。奴隷も重要な役割を果たすことは、忘れてはいけない。

そして、その形を決める時の一番大切なことは、御主人様も、奴隷も、お互いに幸せを感じられる形であること。

今の私はそう思えるし、これからの奴隷とも、そういう形を作れたら、いいなと思う。


なんだか、長くなってしまった。

補足ではなく、蛇足になったかもしれないが、こういうことを、今の私は自然に思えるようになった気がする。

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本来は、統計でもしっかりととって、せめて確率的にでも、証明してから言うべき事柄かも知れない。

思いっきり、理系の私としては、こういうことを決めつけるように言うのは、あまり良いとは思えないのだが、あえて、感覚的に言う。

M女性(奴隷)には、自信のない人が多い気がする。

今回は、そんな話だ。


奴隷を持っていた時、こんなことがあった。

以前、理沙の話の最後のほうで、美佳が私に、色々と言ってくれたことを書いた。

今思うと、私が後から悔やみそうなことを、防いでくれた、とてもありがたい言葉だったと思う。

そして、あの部分だけを見ると、美佳は気が強く、私の奴隷として居ることに大きな自信を持っていたのかと思われた方もいるかと思うが、

理沙との別れの時は、かなり特別で、普段の美佳は、気が弱く、また自己主張もあまりしない、本当に大人しい奴隷だった。

奴隷だから、ということで、控えた部分もあったのかもしれないが、恋人時代から美佳はそんな感じだったから、性格がそのまま、出ていたことも大きかったと思う。

そして、美佳は、自分が、私の奴隷であることに、自信を持てずにいたことも多かった。
だから、あの時の美佳は、自信がないにも関わらず、勇気を振り絞って、私に言ってくれたのだと思う。

本当にありがたいことだ。

でも、美佳の自信のなさというのは、いつも、すごく強く感じていた。

「私で、いいのでしょうか?」

「私なんかじゃ…」

なんて、よく言っていたのを覚えている。

そんな、美佳との話。


ある時、買い物に行った。

私も、美佳も用事があったので、一緒に出かけた。

奴隷とは、調教の時だけ会う、性処理に呼びつけるようなことのみ、としている御主人様もいるが、私は、普段は、買い物などにも一緒に行った。

といっても、会話も、対等な恋人同士という感じではないのだが、それでも、そういう機会は、私は普通にとっていたし、奴隷も喜んでいたと思う。

美佳も一緒に出かけようといえば、嬉しそうにしていた。

ただ、美佳は人ごみが苦手なので、そういうところはできるだけ避けたのだが、買い物は、仕方がない。

その時は、新宿の、あるデパートに行った。

私の買い物を済ませ、美佳が、靴を買うというので、その売場に行く。

私は、婦人物の売り場が、なんとなく苦手なので、こういうときは、売り場の外で、待っていたりするのだが…。

よく、そういう売り場で、楽しそうに、一緒に彼女の服や靴やアクセサリーを選んでいる、彼氏なんかも見かけるが、私は、あれが苦手だ。

まあ、後になれば少しは、慣れて、そういうところにも入っていくようになるのだが、最初は、本当に、照れくさくて、女性用の売り場には、入れなかった。

さらには、化粧品まで一緒に選んでいる男なんかもいるが、あれは私にしてみると、もう、異次元の存在だ。

なのに、化粧品売り場というのは、なぜか、デパートの一階に多かったりするのだが、本当にあの配置は何とかして欲しい。

男はデパートに来るなと言われているような気がしてならない。

それは考え過ぎか…。

被害妄想か…。

デパートの一階は、本屋か、食料品にしてくれたらと、いつも思う。

少し話が逸れた。


それで、その時も、

「靴だったな。ここで待ってるから、買ってこい」

と言って、美佳に、一人で行かせた。

美佳も私が、そういうところには入りたがらないのは知っているから、

「はい。急いで買ってきます」

といったのだが、

「ゆっくりでいい。ちゃんと選べ」

と、焦らせないようにして、送り出した。

そう言ってやらないと、本当に、急いで買ってくるから。

美佳が、婦人靴売り場に入っていった。

婦人靴売り場といっても、デパートだから、ある一角がそういう風になっているというだけで、私から見えない場所というわけではないから、私は、何気なく、美佳の方を見ていた。

美佳も、たまに私に視線をよこしては、ちょっと微笑む。

そういうのも、なんだか照れくさいというか、私がちゃんと美佳を見ているのだと美佳に知られるのが、御主人様らしくないような気がして、美佳がこっちを向くと、私は、視線をそらす。

ちなみに、理沙の場合だと、更に手強くて、手を振ってくる。それが、この二匹の性格の違いだ。もちろん、そんな理沙にも、私は知らんぷりを決め込む。

そういうことができるくらいの距離。

美佳は、順調に靴を選んでいたのだが、そのうちに、売り場の椅子に座って、靴を試履している美佳のところに、男が近寄ってきたのが見えた。

そして、何事か話しかける。

私には聞こえないのだが、ちゃんとしたスーツを着ていたから、最初は店員かと思って、そのままにしておいた。

でも、その男は、美佳にかなり色々なことを話しかけているように見えた。

そのうち、美佳が、ものすごく困ったような顔をして、私の方を見た。

その時はさすがに、私も視線をそらすようなことはしなかった。

どうしたのか?と思ったから、私は、あまり行きたくはなかったのだが、婦人靴売り場に入って行った。

そして、ものすごく困り果てているような顔の美佳に、

「どうした?」

と声をかける。横に男がいるのだが、それを無視して。

「あの…」

美佳は私を見て少しホッとしたような顔をしてから、その男に視線を向け、そしてまた私に視線を戻す。

オロオロというのは、このことだ。

「何してる?」

何度も言うが、私は、婦人靴売り場が苦手だ。だから、一刻も早く立ち去りたいのだが、何が起きているのか良くわからない。

美佳も、何事か言いたいようなのだが、やはり、その性格からか、言えない。

そうしているうちに、男が私の方を見た。

「彼女の?」

と、私に問うので、

「連れです」

さすがに、「主です」とは言わない。表の世界と接するときは、気をつける。

「あ、そうなんですか。てっきり、一人だと…」

男がそう言った時点で、私にもその状況に見当がついたのだった。

「一人だったら何かしたのですか?」

その男に言った。

「いや、そういうわけでは…」

男の焦る顔を見て、私のつけた見当は、おそらく間違いじゃないと思った。

美佳がかなり困って、泣きそうにしているのは、そのためだ。

その男が、美佳を、こんなふうに追い詰めていることに、腹がたった。

「もしかして、こういうのがナンパなのか?」

もしかしなくても、おそらくそうなのだが、私は、少し声のトーンを落として、その男に聞いてみた。

「あ、いえ…」

男がどもってしまった。

私は、たまにやってしまうのだが、こういうわざとらしい聞き方が、怖いのだろうか…。

「彼氏がいるとは思わなくて…。すみません」

と言って、男は何度か頭を下げると、足早に立ち去った。

こんなところで、ナンパする男がいるということに、かなり驚いたのだが、考えてみれば女性率が高いところでするのは、当然といえば当然なのかもしれない。

理にかなっているのだなと、後から感心したりしていた。

私は、ナンパなんて一度もしたことがない小心者なので、それが効率的なのかどうかは、わからないが…。

とにかく、その場はそれで収まったので、男のことはどうでもいいのだが、美佳が、もう泣き出しそうな顔になってしまっていて、

「靴は決まったか?」

と聞いても、首を横に振るだけ。

「あっちで待っているから、ゆっくり選べ」

といって、立ち去ろうとしたら、私のシャツの裾を掴んで、また首を横に振った。

「もう、いいです…」

そう言って、美佳は、椅子から立ち上がった。

「帰りたい…」

美佳がそう訴えてきたので、これはもうだめだなと思った。

「そうか」

靴はまた別の機会にしようと決めて、売り場を出ようとしたら、別の声に引き止められた。

また、ナンパ、ではなく、今度は、本物の店員に声をかけられたのだった。

「お客様、大変申し訳無いのですが、商品の靴を履いたまま、ここから出て行かれるのは、ちょっと…」

美佳は、試履の靴のままだった…。

私もそれに気が付かなかった…。

美佳がナンパされて焦ったのは、実は私の方だったかもしれない。


靴をちゃんと履き替えて、デパートを出て部屋に帰った。

その間も、美佳は、ずっと俯いたままだったから、手を引いてやった。

よほどショックだったのだろう。

そして、部屋に着くなり、美佳は私の前に手をつくと、頭を下げて言った。

「ごめんなさい。他の男の人にあんなふうにされてしまって…」

と。

でも、私は、頭の上に”?”が並んだ状態。

なんで、ナンパされた美佳が悪いのか?

よくわからなかった。

別に男を誘うような服装や、態度をしていたわけでもない。あんな売り場で、しかも、試履中にナンパするほうが、珍しいだろう。

「どうでもいいことだ」

「でも…」

「すぐに、断れなかったってことか?」

「はい。私、御主人様のものなのに…」

「そうだな。それはあるな」

「本当にすみません。捨てないでください…」

そう言って、美佳が頭を床にこすりつけて言った。

この程度のことで捨てられると思ってしまう美佳は、やはり、私の奴隷であることに自信がなかったのだろうと思う。

自信がもう少しでもあるなら、こんなことで、捨てられるのではないか?という思考まで至らないだろう。

美佳の、奴隷であることの自信、私との関係に対する自信、そして、自分に対する自信、というのは、すごく小さく、そしてとても揺らぎやすいものだった。

でも、私は、そんなに悪い気分だったわけではない。

もちろん、美佳を捨てるなんてことは、微塵も考えてはいない。

むしろ、少し嬉しかった。

「それより、お前、ああやって男に、声をかけられたのは、初めてか?」

「はい、そうです。だから、びっくりして、どうしていいかわからなくて… それで、すぐには…」

と、まだ、断れなかったことについて謝ろうとしたのだが、それを遮って言った。

「そうか。今日は、お祝いかも知れないな」

「お祝いって…」

「お前、魅力的な女になったってことだろう。じゃないと、ナンパなんてされない。少なくとも、あの売り場の中では、一番、いい女だったってことだな」

「…」

「前はナンパなんてされなかったのに、今されるってことは、奴隷になって、調教されて、お前も努力して、前より、魅力的な女になった。黙っていても、男を惹きつけられる女に。俺も、自慢できる奴隷を持てたってことだ。それは、喜ぶべきことじゃないのか?」

「でも、私なんかでは、自慢なんて…」

「事実を否定するなよ。俺が評価したんじゃない。他の男が認めたんだ。それに、あいつは、お前がただの女じゃなくて、牝奴隷だってことには気づいてなかっただろうし。おそらく、ホテルに連れ込んで、セックスするくらいのことしか、考えてない。でも、お前は、あいつが想像すらしてないようなことができる。俺はそれを知ってるし、自由に使える。これはかなりの優越感だな」

私は、そう言って笑った。それは、美佳にも笑って欲しかったからだ。

この事実から、少しでも自信を持って欲しかったからだ。

でも、美佳はそう簡単には笑わない。御主人様である私ですら、美佳に本心からの笑顔をさせるのは難しい。

「でも…」

「お前は俺の奴隷だ。少しは、自分に、自信を持て。今日のことは、誇っていい」

私はそう言うと、美佳の頭を胸に抱いてやった。

多分、美佳が、こんな風に言うのは性格的に、自分をあまり認めていないということもあるが、単純に、怖かったのだろうと思った。

初めてナンパされて、驚いているのだ。

それを落ち着けてやるには、美佳が奴隷になる時に、一つだけ望んだ事、「たまには抱きしめて欲しい」というのをしてやるのが、一番だと思った。

しばらく抱きしめてから、美佳を離す。

「ありがとうございます…。私、少し、自信を持ってもいいでしょうか?」

小さな声でそういった顔は、恥ずかしそうに、少しだけ、微笑んでいた。

でも、やっぱり、美佳の本当の笑顔というのは、なかなか、引き出すことができない。

「ああ」

「はい」

美佳は、コクリと頷いた。でも、本当に、”少し”だったのだと思う。

美佳にとって、自信を持って奴隷でいることは、きっと難しかったのだろう。

最後まで、そうだったのだろうと思う。

それを、なんとか、してやれたら良かったのだが…。

私にも、難しいことだった。


最後に、もう一度書くが、M女性には、自信のない人が多いと、思う。

これまで出会ってきた、M女性を見る限り、だが。

それは、別に、裏の世界に関することだけではなく、表の世界に関することでも。

仕事なんかを胸を張って、堂々とやっているように見えて、普段の言動も、ポジティブな人もいる。

気弱な感じで、見るからに、自信がない態度で、言動も、いつも、ネガティブな感じで、いる人もいる。

それは、M女性(奴隷)によって、いろいろだが、そんな彼女たちと話をしていると、自信のなさ、というのが、見え隠れするように、感じられることが、ノーマルな女性と話をしている時よりも、多いように、私は感じてきた。

自信を持つことと、M性の相関関係は、わからない。

でも、そんなふうに思う事が多い。

ただ、私は、自分の奴隷には、自信を持って奴隷で居て欲しかったと思うし、普段の生活でも、胸を張って、生きていて欲しいと思っていた。

奴隷がそう思えるように、してやりたかった。

とはいえ、奴隷が自信を持てるようにする特効薬を、私は、持ち合わせていない。

せいぜい、その奴隷の話を、ちゃんと聞いてやるくらいだ。

それが歯がゆかった。

奴隷の自信。

奴隷を支配している。といいながらも、御主人様が、奴隷に与えるのが難しいものの一つだ。そして、それを与えることができなくて、私がとても苦悩し、悔しく思ったものでもある。

未だに、どうすればいいのか、分からない。

その方法があるなら、知りたいものだ。

テーマ:主従関係 - ジャンル:アダルト

このブログについて

著者:vet

 ※このブログには、エロ動画やエロ画像、官能小説のようなものは一切無いが、内容が内容なので、SMや主従関係という、恋愛の形に不快感を覚える人、違う世界の話だと思う人などはすぐにブラウザを閉じて、このブログのことは忘れるように。

 私は以前、牝奴隷を飼っていた元”御主人様”。でも、今は飼っていない。奴隷を手放した経緯とか、過去の奴隷の話、そのときの気持ち、奴隷への想い、今だから考えられること、言えること。書きたいことを書きたいままに綴るブログ。
 また、今、これを書いている私の現状について、ご質問を頂くことが結構あるので、それについては、
 ◆私について
というカテゴリの中に、”現状の私”というエントリーにして書いておいた。このカテゴリには、私自身のこと(私の好みや、調教の方針など)をメインに書いているエントリーを入れてあるので、興味のある方がいるかどうかは分らないが、もしも気になるなら、見ていただければと思う。

 SM話はストイックになりがちなので、多少軽いタッチのコラムも交えて書いてみようと思う。奴隷を飼っていない今だから書ける御主人様の本音などをできるだけわかりやすく、そして正直に。今、奴隷になっている牝や、御主人様を探しているM女なんかには、御主人様の側の気持ちが少しは分かってもらえるかもしれない。ちなみに、私は理系的な思考傾向なので、考えすぎることが多く、そのために、なにやらややこしいことになることも多々ある。そのあたりも笑って読んでもらえれば、幸い。

 メールやコメントなども楽しみにしている。気軽な恋愛話、気楽なSM話から、SMや主従関係のこと、Mであることなどについての悩みや、相談、質問など、真面目なお話まで、どんなことでも、しっかり伺おうと思っている。恥ずかしいとか、こんなことを言っては変に思われるのではないか?とか、考えることもあるかも知れないが、私は、それなりに長くSMや主従関係の世界に居たので、それほど驚くことは無いと思うし、他人と変わっていることでも、変だとは思わないできちんと伺うつもりなので、メールやコメントは、遠慮せずに送ってくださればと思う。

 リンクフリーなので、気に入ったら、好きにリンクしてくださればと思う。言っていただければ、私からもリンクするので、そういう意味でも気軽に声をかけてもらえれば幸い。

 このブログは、私が奴隷と過ごした日々を時系列で綴った続き物の話と、SMに関するちょっとした小話や、SMに対する私の考えや体験、見聞きした面白い話題などを個々に書いた単発物のコラムとが混在している。

 続き物の話は、エントリーの題名に第何話という番号が書いてあり、以下のカテゴリにまとめてある。
 ●最初の奴隷
 ●二匹目の奴隷
 奴隷と私とのストーリーを読みたい場合にはこちらを読んでもらえればと思う。

 単発物のコラムは、以下のカテゴリにまとめてある。
 ●四方山話:1エントリーでひとつの話
 ●四方山話(続き物):複数エントリーでひとつの話
 短い話を気軽に読みたい場合にはこちらを読んでもらえればと思う。

 単発物のコラムの中でも、SMの技術的な話だけは別にしてある。それは、
 ●SM技術
にまとめておいた。技術的なことに興味のある場合には、こちらを読んでもらえればと思う。

 カテゴリの記事は古い順に並べてあるので、カテゴリ名をクリックしてもらえれば、続き物の記事でも最初から順番に読めるようになっている。


  当ブログ内に書くことは、私が実際にやってみたことや考えたことであって、それが正しいかどうかを完全に検証したわけではない。だから、もしも同じことを試す場合には自己責任で、細心の注意を払って実行して欲しいと思う。SMなので、体への損傷などの可能性もなくはないから。とにかく気をつけて欲しい。そして、このブログ内のことを試して、いかなる不利益が生じたとしても、私、vetは免責されることとする。そのことはしっかりと承知した上で読んでもらいたい。
 奴隷のためにも、そして御主人様のためにも、本当に無茶なことはしないで、幸せなSMを楽しんで欲しいと願っている。

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当ブログの管理人、vetへのメールは以下のリンク先のメールフォームから送っていただければと思う。2つあるが、どちらのメールフォームからでも、良いので、都合の良い方を使ってもらえればと思う。

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ブログよりも、短い話題はこちら。 こちらの方がブログよりも気軽に書いている。また、チャットみたいな感じで誰かと会話をしていることも多いので、ブログでの私のイメージと少し?だいぶ?違うかもしれない。あまり遠慮せず、気楽に話しかけてくれると嬉しい。

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掲示板形式で話ができる場所。ブログにコメントできない時のための非常用に作ったが、それ以外でも、私と参加者、また、参加者同士などで、話をするのにも気軽に使っていただければと思う。

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