理系Sの牝奴隷には言えない話
元、”御主人様”だったvetのSMに関するいろんな話。
はじめに

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理沙を幸一に会わせてから、しばらく経っていた。

その間、理沙は、もう一度、幸一に会いたいとは言わなかった。

そして、表面上、すごく落ち着いているように見えた。

幸一のことに気づく前と何も変わらない、理沙のように見えた。

私はといえば、たまに東京にやってくる幸一と会ってはいたが、そこでも理沙の話は出なかった。

また、幸一も、理沙と会う前と変わっていないようだった。

そういう状況を見て、私は、この二人の主従関係が元に戻る、つまり理沙を幸一に返すということは、ないのではないか?と感じ始めていた。

それは、私にとっては嬉しいことではあった。

幸一が日本に帰ってきたときには、理沙をすぐにでも幸一のもとに戻さなければならなくなるのではないかと思ったりもしたのだが、

一向に二人からそのようなアクションが出てこないところを見ると、完全に別れたという姿勢を崩すつもりはないようにも思えてきた。

そんな理沙と幸一の態度に私は正直、ホッとしていた。

だが、それでも、私は、理沙を幸一に戻す時が来る可能性を完全には否定できずにいた。

日本に帰ってきても幸一は付き合う女もなく、奴隷も持たず、ずっと一人だったし、実家の方のゴタゴタが続いているようで、精神的にも少し追い詰められているように見えた。

そういう時に、理沙なら幸一を支える事ができるのではないか?と思えてしまうのだった。

だから、「理沙を返してくれ」と幸一に言われるのではないか?

「幸一のもとに戻りたい」と理沙に言われるのではないか?

という懸念は常に私につきまとっていた。

二人は、一度は結婚まで考えたほどの仲だったわけだし、別れた理由も、嫌いになったからというわけではなく、ヨーロッパと日本という距離的なものや、扶養できるかどうかという経済的なことが理由だったわけで、それも今は解消されている。

もしも、二人に、まだお互いを必要とする気持ちが残っているのだとすれば、いつか、そんな日が来るのではないかと、私は考えざるをえないのだった。

そして、それを遮断しているのは、私が理沙の御主人様になっているという事実、ただひとつのような気がしていた。

二人が、別れるとき、私にかなり無理を言って、理沙の譲渡をしたことは前に書いたが、そのことが、二人からは、私に何も言えない状況を作り出しているように私には思えた。

そして、そのことを、幸一も、理沙も、かたくなに守ろうとしている。それに支えられて、理沙が未だ私のところにいるのではないか?

考えすぎなのかもしれないが、そう思わずにはいられないのだった。

私はこの時、理沙に対する自信を失いかけていた。

理沙が私のところに居るのは、譲渡したときの私への申し訳なさがあるためであり、私を御主人様として慕ってくれているわけではないのではないか?

そんな思いが、私の心をざわつかせていたのだった。

だから、何かきっかけを作って、理沙の本当の気持ちを聞き出したいと願っていた。

私に対する遠慮のない本当の気持ちを。

でもそれを聞くのは怖い。

どうすればいいか、私にはわからなくなってきていたのだった。


そんなある日、やっぱり理沙のことを少し考えながら、美佳の調教をしていた。

美佳を緊縛して、鞭を入れるところだった。

だが、考え事をしていたから、おそらく、美佳の調教にあまり意識がいっていなかったのだろう。

美佳が、途中で不思議そうに、私に声をかけてきた。

「御主人様? どうされたんですか?」

と。

でも、奴隷に自分の悩みを言うつもりはない私は、

「なんでもない」

と突っぱねた。

だが、美佳は少し首をかしげて、さらに続ける。

「もしかして、理沙さんのことですか?」

と、言い出したのだった。

普段の調教では、縄で縛った段階で、こんなに奴隷が饒舌になることは殆ど無く、快感の喘ぎ声とか、苦痛や恥辱のうめき声とか、言葉にならない声しか出さないことのほうが多いし、

私がなにか言えば、それにやっと応えるとか、奴隷として躾てある反応での言葉しか出ないのが普通なのだが、このときはやはり私の出している雰囲気や態度がよくなかったのだろう。

美佳は精神的にSMの世界にあまりちゃんと入っているとは言えず、だから、こんなふうに話しかけてこられたのだろうと思う。

今思うと、他のことに考えが行っているという、本当に、無様な調教だった。

美佳には、理沙と幸一を会わせるという話はしていた。

だが、それ以上の私の心のうちに関することは一切言っていない。だから、理沙のことを私が考えているというのは、完全に美佳の推測なのだった。

多分、勘で言ったのだろうと思う。

でも、唐突に図星を突かれた私は動揺した。

「なんで、それがわかる?」

と、とっさに美佳の言う事を認めてしまってから、ハッとした。

これは私の中での葛藤だ。誰にも言うべきことではないし、相談したところで、どうなるものでもない事柄だ。

しかも相手は奴隷である美佳。理沙と同じ立場の奴隷にそれを言うことが、良いとは思えなかった。

だから、美佳に対して、それを認めてしまったことを一瞬で悔やんだのだった。

だが、もう遅かった。美佳に言ってしまった以上、取り戻すことは出来ない。

「やっぱり、そうだったんですね?」

「いや、いい」

必死で取り繕おうとしたが、すでに遅かった。

「最近、御主人様、なんだかおかしいなって思っていたんです」

「…」

「だから、御主人様、私で良ければ…」

と、言いかけた美佳に、私は、

「お前には関係ない」

と言ってしまった。

「そうですね。関係ないのかも知れませんね…」

美佳は少し悲しそうな顔をした。

同じ奴隷として、今までやってきた理沙のことを関係ないと言われたことに少なからず落胆しているようだった。

だが、私にはそんな美佳の心境をくんでやる余裕もなかった。

その時、多分私は、苦悶の表情を浮かべていたのだろう。

それを見て、美佳は意を決したように口を開いた。

「でも、一つだけ申し上げてもよろしいでしょうか?」

その時の美佳の目には、なにか強い決意が宿っているように見えた。


テーマ:SM - ジャンル:アダルト















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このブログについて

著者:vet

 ※このブログには、エロ動画やエロ画像、官能小説のようなものは一切無いが、内容が内容なので、SMや主従関係という、恋愛の形に不快感を覚える人、違う世界の話だと思う人などはすぐにブラウザを閉じて、このブログのことは忘れるように。

 私は以前、牝奴隷を飼っていた元”御主人様”。でも、今は飼っていない。奴隷を手放した経緯とか、過去の奴隷の話、そのときの気持ち、奴隷への想い、今だから考えられること、言えること。書きたいことを書きたいままに綴るブログ。
 また、今、これを書いている私の現状について、ご質問を頂くことが結構あるので、それについては、
 ◆私について
というカテゴリの中に、”現状の私”というエントリーにして書いておいた。このカテゴリには、私自身のこと(私の好みや、調教の方針など)をメインに書いているエントリーを入れてあるので、興味のある方がいるかどうかは分らないが、もしも気になるなら、見ていただければと思う。

 SM話はストイックになりがちなので、多少軽いタッチのコラムも交えて書いてみようと思う。奴隷を飼っていない今だから書ける御主人様の本音などをできるだけわかりやすく、そして正直に。今、奴隷になっている牝や、御主人様を探しているM女なんかには、御主人様の側の気持ちが少しは分かってもらえるかもしれない。ちなみに、私は理系的な思考傾向なので、考えすぎることが多く、そのために、なにやらややこしいことになることも多々ある。そのあたりも笑って読んでもらえれば、幸い。

 メールやコメントなども楽しみにしている。気軽な恋愛話、気楽なSM話から、SMや主従関係のこと、Mであることなどについての悩みや、相談、質問など、真面目なお話まで、どんなことでも、しっかり伺おうと思っている。恥ずかしいとか、こんなことを言っては変に思われるのではないか?とか、考えることもあるかも知れないが、私は、それなりに長くSMや主従関係の世界に居たので、それほど驚くことは無いと思うし、他人と変わっていることでも、変だとは思わないできちんと伺うつもりなので、メールやコメントは、遠慮せずに送ってくださればと思う。

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