理系Sの牝奴隷には言えない話
元、”御主人様”だったvetのSMに関するいろんな話。
はじめに

 いらっしゃいませ、とでも書くべきだろうか。とにかく、あなたが見に来てくれたことは素直に嬉しい。ありがとう。

 このブログはSM、男女の主従関係に関することを主に取り上げて書いている。なので少しアブノーマルだ。だから、初めてこのブログを訪れた人は、右側の欄の”このブログについて”をまずは読んで、それに同意できた場合のみ、読み進めて欲しい。

 また、このブログ、少々ややこしい構成になっている。そのあたりも説明してあるので、それも理解してから読んでもらえればと思う。説明を読んで問題がなければ、二度目以降からは以下のエントリーを好きなように読んでもらえればそれでOK。

 AVや他の本格的なSM系サイトなどとは、多少違った視点からのSMの世界を知ってもらえれば、幸いだ。特に読者を指定するつもりはないが、御主人様を探しているM女などにはSMの実態を知るということで、参考になるのではないかと思うので、御主人様を選ぶ前に、SMの世界に飛び込む前に読んでもらえれば嬉しく思う。

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美佳に理沙と幸一のことをつい漏らしてしまったとき。

美佳は、一つだけ言いたいと私に強い目を向けた。

あまり強く自己主張することのない美佳にしては本当に珍しい。

それだけ、強い気持ち、そして覚悟があったのだろうと思う。

私はそれに圧倒されるように、美佳の顔を見返していた。

そして、

「なんだ?」

と、美佳の発言を許したのだった。

「理沙さんの心の中のことです」

「ああ」

「私には、理沙さんの心の中には、今でも幸一様が居ると思います。私は、そのことにはずっと気がついていました」

「…」

返す言葉がなかった。

美佳のこの一言は、巨大な鉄槌となって、私の中の失いかけていた理沙への自信をことごとく粉砕したのだった。

美佳は私を追い詰めるつもりで言ったわけではなかったのだろうと思う。

むしろ、事実を知りたがっていた私に、それを正確に告げたかったという気持ちだったのだろうと思う。

美佳の優しい配慮から出たことだと思う。

だが、それは、私にはあまりにも残酷な一言だった。

「やっぱり、俺じゃ駄目だったか…」

私は泣きそうな気持ちで、それだけを搾り出すように言った。

「駄目ではなかったと思います。でも、理沙さんの幸一様への思いは、多分かなり特別なものなのだと思いますから」

明らかに落胆している私。もう、美佳の前でも取り繕うことは出来なかった。

手に持った鞭を置き、縛り上げた美佳の縄をほとんど無意識に解いていた。

そんな私を見て、美佳は続けた。

「御主人様は、理沙さんにとっても良い御主人様だったと…」

「もういい!」

私は美佳の言葉を遮って怒鳴っていた。でも、そんな私を美佳は包むような優しい瞳で見つめていた。

そんな目線を向けられたら、私は怒気をおさめるしかなかった。

そして、

「お前から見てそうなら、多分そうなんだろうな…」

とつぶやいた。

「はい。おそらく、そうだと思います…」

美佳も私の思いを察してか、つらそうな声で言った。

「でも、何でそう思った?」

「たまに聞くんです。一緒にお料理を作っていたとき、”御主人様って薄味なのね。前の御主人様ってもっと濃い味が好きだったんだよ”とか、お掃除するとき、”御主人様、タバコ吸われないからいいよね。前のときは消臭剤がないとお部屋がくさくて”とか、幸一様のことを、色々な場面で話題にだしていましたから」

「そうだったのか…」

「だから、今でも幸一様の思い出が、理沙さんの中には大きくあるんだなって思って…」

「俺には何も言わなかったな」

「理沙さんなりに、御主人様に気に入ってもらいたいって気持ちがあったからだと思います。少なくとも、理沙さんは、譲渡されてからは、御主人様の忠実な奴隷になりたいって気持ちがすごくあったと思います。幸一様のことが心にあったにしても」

「そうか…」

「はい」

しばらく沈黙していた。

私は、何も言う気になれなかったし、美佳もそんな私の気持ちを察してくれたのか、何も言わず、ただ黙って私のことを見ていた。

そして、少しして、落ち着いたとき、美佳に自分の心境を全てしゃべってしまったことに、私は、恥ずかしくなっていた。

美佳の御主人様としてのプライドも何も、なくなっていたことに気がついた。

そして、それをなんとか取り戻そうと、強がりのようにこう言ったのだった。

「それにしても、お前は残酷なことを平気で言うようになったな。俺では幸一には勝てないということをお前ははっきり言っているんだぞ」

と。

「あ、いえ、そういう意味では…」

美佳はハッとした顔をしてから、すぐにうつむく。

「でも、いい。なんかわかった気がする。理沙を幸一に返すっていうのが一番いいのかもしれないな…」

私は喉の奥から搾り出すように、そう宣言した。

ただ、そう言いながらも、理沙への気持ちは私の中でかなり大きなものだ。

だから、この宣言が現実にならないことを、この段階でも、やっぱり私は望んでいた。

そして、この日は私の理沙への自信を握りつぶすことを言った美佳に厳しい調教をした。

理沙の心のうちをしっかりと認識させてくれたのだから、美佳には感謝こそすれ、理不尽な調教などするべきではなかったのかも知れないが、それでも、私はそうせざるを得ない心境になっていた。

だが、その調教の最中、美佳の胸の中で私が泣かせてもらっているような、そんな気分がずっとしていたのだった。

美佳に包んで欲しい。抱きしめて欲しい。甘えさせて欲しい。

そんな気持ちがありながらも御主人様として、威厳を保ちたいというプライドが邪魔をして、そんなことは出来なかった。

ただひたすらに、美佳に厳しい調教を課すことで、自分の中の思いを必死で咀嚼しようとしていたのだった。


テーマ:支配と服従 - ジャンル:アダルト

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[2011/06/14 13:26] | [ 編集 ]

>2011/06/14 13:26にコメントくださった匿名希望さんへ

はじめまして。ブログ読んでくださってありがとうございます。

このあたりは私もすごく辛い時でした。
本当に、どうしたらいいのだろう、何をしてあげたら満たしてあげられるのかな、何が奴隷の本当の幸せなんだろうってずっと考えていました。
でも、なかなかわからないことなんですよね。
人の気持ちというのはたとえ色々なものをさらけ出した奴隷であってもそれを察するのは難しいです。
そして私自身の気持ちも。

匿名希望さんも羨ましいと感じられたのですね。
そう言ってくださる方が結構多いのですが、とても勇気づけられる気がします。
私のしたことが奴隷たちにとって良かったのかなと思えますので。
ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いしますね。
[2011/06/15 07:29] URL | vet [ 編集 ]
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[2011/06/27 06:18] | [ 編集 ]

>2011/06/27 06:18にコメントくださった匿名希望さん
はじめまして。コメント、ありがとうございます。
私は、ブログの題名にもあるとおり、ずっと理系でして、学生時代も、仕事をしてからも、論文とか、仕様書だとか、マニュアルだとか、そういう説明文を書くことはあるんですが、読ませる文章というのは、あまり書いたことはないんです。なので、文章を書くのは完全に素人です。
なので、読みやすいと言っていただけて、とても嬉しいです。
これからも、頑張って更新しますね。
[2011/06/29 21:44] URL | vet [ 編集 ]














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このブログについて

著者:vet

 ※このブログには、エロ動画やエロ画像、官能小説のようなものは一切無いが、内容が内容なので、SMや主従関係という、恋愛の形に不快感を覚える人、違う世界の話だと思う人などはすぐにブラウザを閉じて、このブログのことは忘れるように。

 私は以前、牝奴隷を飼っていた元”御主人様”。でも、今は飼っていない。奴隷を手放した経緯とか、過去の奴隷の話、そのときの気持ち、奴隷への想い、今だから考えられること、言えること。書きたいことを書きたいままに綴るブログ。
 また、今、これを書いている私の現状について、ご質問を頂くことが結構あるので、それについては、
 ◆私について
というカテゴリの中に、”現状の私”というエントリーにして書いておいた。このカテゴリには、私自身のこと(私の好みや、調教の方針など)をメインに書いているエントリーを入れてあるので、興味のある方がいるかどうかは分らないが、もしも気になるなら、見ていただければと思う。

 SM話はストイックになりがちなので、多少軽いタッチのコラムも交えて書いてみようと思う。奴隷を飼っていない今だから書ける御主人様の本音などをできるだけわかりやすく、そして正直に。今、奴隷になっている牝や、御主人様を探しているM女なんかには、御主人様の側の気持ちが少しは分かってもらえるかもしれない。ちなみに、私は理系的な思考傾向なので、考えすぎることが多く、そのために、なにやらややこしいことになることも多々ある。そのあたりも笑って読んでもらえれば、幸い。

 メールやコメントなども楽しみにしている。気軽な恋愛話、気楽なSM話から、SMや主従関係のこと、Mであることなどについての悩みや、相談、質問など、真面目なお話まで、どんなことでも、しっかり伺おうと思っている。恥ずかしいとか、こんなことを言っては変に思われるのではないか?とか、考えることもあるかも知れないが、私は、それなりに長くSMや主従関係の世界に居たので、それほど驚くことは無いと思うし、他人と変わっていることでも、変だとは思わないできちんと伺うつもりなので、メールやコメントは、遠慮せずに送ってくださればと思う。

 リンクフリーなので、気に入ったら、好きにリンクしてくださればと思う。言っていただければ、私からもリンクするので、そういう意味でも気軽に声をかけてもらえれば幸い。

 このブログは、私が奴隷と過ごした日々を時系列で綴った続き物の話と、SMに関するちょっとした小話や、SMに対する私の考えや体験、見聞きした面白い話題などを個々に書いた単発物のコラムとが混在している。

 続き物の話は、エントリーの題名に第何話という番号が書いてあり、以下のカテゴリにまとめてある。
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