理系Sの牝奴隷には言えない話
元、”御主人様”だったvetのSMに関するいろんな話。
はじめに

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理沙を幸一に返すと美佳に宣言した私だったが、それをどのように実行しようか?というところで、かなり悩んでいた。

正確に言えば、その手前、気持ちの整理の部分で、悩んでいたのだった。

というのも、理沙を幸一に返したくないという気持ちは、やっぱり私の中でかなり大きかったから。

その気持ちに逆らい、さらに「理沙のことはもう関係ない」という幸一の態度に逆らって、理沙を幸一のもとに戻す。

正直なところ、なんで苦しい思いまでして、そんなことをしないといけないんだろうと思っていた。

このままにしておけば、私のところに、理沙はずっといるのに、わざわざ私から、理沙を返すためのアクションを起こす必要がどこにあるのか?

なんてことを頻繁に考える。

そのたびに、理沙を幸一に返そうという気持ちが、揺らいでいた。

私は、感情の整理があまりうまくないと思う。

一度決めたと思っても、色々な気持ちに流されて、あれこれと考えるタイプだ。

きっぱりと決断するというのが、なかなかできない。

仕事なんかでの決断では、それほど悩むことはなく、かなりスパッと決めてしまうのだが、それは多分、目に見える具体的なデータがあるからだと思う。

感情ではなく、リスクやコストやリターンをある程度、予測、計算できるから、決められるのだろう。

また、仕事では、スピード感を持って決断しないといけない場面が多いから、そこで躊躇することは、私はあまりない。

論理的に考えるための材料があると、それがどんなに複雑であろうと、誰かの思惑が絡んでいようと、ものすごくあっさりと、ある意味、かなりクールに私は物事を決めるのだが…。

早く決める必要がなかったり、感情論になってしまうと、決断力が一気に鈍る。

初めからゆっくりと気持ちを落ち着けながら整理していかないと、決めることができない。

すぐに、気持ちが心の中で溢れてしまう。感情に流されてしまう。

私の弱い部分の一つだと思う。

だから、この時も、幸一のもとに戻すことが理沙の幸せなのだと自分に言い聞かせることから、私ははじめなければならなかった。

それもなるべく論理的に考えられるようにと、理沙をこのまま手元においた場合と、幸一の元に戻した場合の理沙の幸福度はどのくらいになるか?なんて、そんな数値化出来ないことを無理やり数値化しようと足掻いてみたりとか、今思うと、訳のわからないことを考えていたのだった。

そのくらい、動揺していたということだと思うし、それを必死で抑えようとしていたのだと思う。

そして、何よりも、理沙を手放すということが、心を引き裂かれるほどに辛いことだった。

だが、理沙が幸一に会いたがったことや、幸一を”御主人様”と呼んだこと、「理沙の中には未だに幸一が居る」という美佳の言葉などを思い出すと、私の一番冷静な部分は、理沙を幸一の元に返すことが最良なのだと結論づけていた。

だから、耐えなければならないのだろうと思った。

でも、どういうふうに気持ちを整理していいのか、やっぱり、私にはよくわからなかった。

これは初めての経験だった、ということもあったと思う。

私は、それまで、失恋経験がない。

正確に言えば、片思いがかなわなかったという意味での失恋経験はいくつもあるのだが、付き合った女と別れるという意味での失恋経験というのは皆無だった。

生まれてはじめて付き合ったのが美佳だったから。

その美佳のあとに入ってきたのが理沙で、そして美佳はまだ私のそばに居る。

だから、理沙を手放すことになれば、それが、付き合った女、というか奴隷との初めての別れになるのだった。

美佳と付き合う前、片思いがかなわなかっただけの失恋というのは、私は多く経験していたが、それだけでもかなりの精神的なショックがあった。

でも、それは数が多かっただけに、乗り越えるすべも私は知っていた。

とにかく忘れてしまえばいい。

そして、新しく好きになれる人を見つければいい。

そういう風に思って、乗り越えてきた。

実際、片想いの失恋に関して言えば、それほど長くあとを引くことはなかったように思える。

やはり片思いというだけの関係では、その女に対する思い入れというのはあまり大きくならないのだろうと思う。

お互いに気持ちを通わせたわけではないから。

そんな深い関係まで到達したわけではないから。

心を完全に奪われたわけではないから。

だから、ショックの大きさというのも、なんとか、気持ちを平静に保てる範囲で収めきれていたように思う。

でも、この時は違う。

理沙とは、1年半以上、一緒の時を過ごしてきた。

しかも、主従関係。

普通の男女関係よりも濃密と言ってもいいかもしれない。

男女関係だけでは、遠慮して言わないとか、恥ずかしくて言えないとか、そういうこともお互いに伝え合っている。

本当に深いところで、気持ちを通わせたと思う。

心の奥までさらけ出した。

理沙の性癖も、恥ずかしい姿も、欲望も、全て、私は受け止めてきた。

そして、私も理沙に同じように自分をぶつけて接してきた。

本当に強く繋がっている関係だった。

「理沙の中には、幸一が居る」という言葉を聞けば、もしかしたら理沙は、私に対して、それほど深くは、のめり込んでいなかったのかも知れない。

私だけの一方的な想いかもしれない。

でも、少なくとも私は理沙のことが本当に好きだった。かけがえのない大切なものだった。

それだけは事実だ。

だから、理沙を幸一のもとに戻すことが、理沙の幸せにつながるのではないかと頭で思ってはいても、心が付いて行かなかった。

そして、その心はまた余計なことを考え始める。

「たとえ、理沙が私の奴隷だと言っても、その幸せがどこにあるかなんて、どうしてわかるんだ?」

「今、実家がゴタゴタしている幸一のもとに理沙を戻すことがどうして幸せにつながるんだ?」

「そもそも、理沙は奴隷なんだ。御主人様が好きにしたらいいじゃないか」



こんなことを頻繁に思っては、理沙を返さなくて良い理由にしていた。

でも、これらは理沙を手放したくない言い訳に過ぎないだろうと、私の理性の一番冷静な部分はわかっていた。

だから、それを否定する。

でも、少しすると、またこういうことを考え始める…。

そんな堂々巡りを繰り返して、私の頭の中は、このころ、本当に色々な想いが交錯し、今にも破裂してしまいそうなほどに、かき乱されていたのだった。


こんなことをしばらく続けた後、なんとか、一つ思いついたことがあった。

理沙への気持ちに、区切りをつけるようなことを、なにかやればいいのではないか?と。

それは必死な頭がやっとの思いで紡ぎ出した苦肉の策だったのだと思う。


テーマ:支配と服従 - ジャンル:アダルト















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このブログについて

著者:vet

 ※このブログには、エロ動画やエロ画像、官能小説のようなものは一切無いが、内容が内容なので、SMや主従関係という、恋愛の形に不快感を覚える人、違う世界の話だと思う人などはすぐにブラウザを閉じて、このブログのことは忘れるように。

 私は以前、牝奴隷を飼っていた元”御主人様”。でも、今は飼っていない。奴隷を手放した経緯とか、過去の奴隷の話、そのときの気持ち、奴隷への想い、今だから考えられること、言えること。書きたいことを書きたいままに綴るブログ。
 また、今、これを書いている私の現状について、ご質問を頂くことが結構あるので、それについては、
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 SM話はストイックになりがちなので、多少軽いタッチのコラムも交えて書いてみようと思う。奴隷を飼っていない今だから書ける御主人様の本音などをできるだけわかりやすく、そして正直に。今、奴隷になっている牝や、御主人様を探しているM女なんかには、御主人様の側の気持ちが少しは分かってもらえるかもしれない。ちなみに、私は理系的な思考傾向なので、考えすぎることが多く、そのために、なにやらややこしいことになることも多々ある。そのあたりも笑って読んでもらえれば、幸い。

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