理系Sの牝奴隷には言えない話
元、”御主人様”だったvetのSMに関するいろんな話。
はじめに

 いらっしゃいませ、とでも書くべきだろうか。とにかく、あなたが見に来てくれたことは素直に嬉しい。ありがとう。

 このブログはSM、男女の主従関係に関することを主に取り上げて書いている。なので少しアブノーマルだ。だから、初めてこのブログを訪れた人は、右側の欄の”このブログについて”をまずは読んで、それに同意できた場合のみ、読み進めて欲しい。

 また、このブログ、少々ややこしい構成になっている。そのあたりも説明してあるので、それも理解してから読んでもらえればと思う。説明を読んで問題がなければ、二度目以降からは以下のエントリーを好きなように読んでもらえればそれでOK。

 AVや他の本格的なSM系サイトなどとは、多少違った視点からのSMの世界を知ってもらえれば、幸いだ。特に読者を指定するつもりはないが、御主人様を探しているM女などにはSMの実態を知るということで、参考になるのではないかと思うので、御主人様を選ぶ前に、SMの世界に飛び込む前に読んでもらえれば嬉しく思う。

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理沙と会う日。

朝、理沙が私の部屋にやってきた。

「おはようございます」

そう言って、部屋に入った理沙の顔は、緊張しているように見えた。

私も緊張していた。

理沙は、すぐに、正座をすると、手をついて、頭を下げた。

「御主人様に、お話したいことがあります」

と言って。

私のことを、その時も理沙は、”御主人様”と呼んだ。

少し、ホッとした。

「この間の話だな?」

そう言いながら、私は、理沙の顎を掴んで顔を上げさせた。

ちゃんと話をするために。

「はい。たくさん、たくさん、考えました」

「ああ」

「それで…その…」

理沙は、話があるといっても、やはりすぐに言い出せるわけではないようだった。

その時点で、すでに涙が伝い落ちていた。

それほどまでに、私に言い難い話だということだ。

私は、理沙が何を言おうとしているのか、予測が出来た。

胸が苦しくて、その場から逃げ出したい気分だった。

言わないで欲しいと思った。

でも、理沙は、もう覚悟を決めてそこに居る。

私も、それを聞く覚悟を決めなければいけない時だった。

なのに、私が、そんな覚悟をする前に、理沙は口を開いていた。

「幸一さんの、プロポーズを受けてもよろしいでしょうか?」

「…」

理沙が出した結論。

予測していた通りだった。

でも、すぐにそれに私は反応できなかった。

ただ、黙って、理沙の泣き顔を見ていた。

しばらくしてから、私はやっと言葉を返せた。

「それは、俺に聞くことじゃない」

「そうなんでしょうか…。やっぱり、お聞きしたくて…」

「お前が決めることだって、前に言ったよな?」

「はい。でも…。申し訳ありません」

「…」

本当に、これは私が言うことではないと、最初、思った。

理沙の一生を決めることなのだから、と。

私が、理沙と結婚するというのなら、理沙と一生を共にすることをその時点で考えていたなら、口を出しても良かったのだろうが、私はそこまでのことを考えていたわけではない。

美佳が居る以上、理沙だけを見ることはできない。

あの頃、多頭飼いということで、よく、色々な人に羨ましがられた。

でも、こういう時、それは、どちらにも気持ちを決められない、中途半端な状態に自分を追い込む。

決断しようにも、状況が許さない。

気持ちが追いつかない。

もっとスッパリと奴隷を切り捨てられる、もしくは奴隷に序列をつけられる御主人様なら、私のように悩まないのだろう。

また、奴隷の表の人生に全く配慮しない、本当に自分のためだけに奴隷が居るのだと思えるなら、理沙にも、「結婚なんてやめてずっと俺の奴隷でいろ」と言えたのだろう。

多頭飼いというのは、そういう意思がある人間しか、やってはいけないことなのかもしれない。

でも、私には、そんなことはできなかった。

奴隷を切り捨てることや、比較し序列を付けること、奴隷の望む表の人生を、私の欲求のためだけに曲げさせることなど、できない。

そしてそれは、私が、2匹を持て余したということだ。

受け止めると言っておきながら、私は受け止めきれていなかった。

そのことを、嫌というほど思い知らされた。

多分、私のような人間に、多頭飼いは、あまり向かないのだと思う。

あの時は、そこまでは思っていなかったのだが、今、考えるとそう思う。


理沙の顔には、決意があった。

その表情を見ていると、もう、多分、理沙の中で結論は出ていることなのだと思えた。

この時点で、私には、選択肢なんて無いと。

理沙は、すっきりと、私に言って欲しいのだと、その時、思った。

私がずっと先延ばしにしてきたことを、決めた時、だったのだと思う。

正直なところ、覚悟が決まったわけでも、理沙を手放したいと思っていたわけでもないのだが、私はもう、言うしかなかった。

自分で、理沙にトドメをさしたのだから。

告げた言葉が思い出された。

あれを言ってしまい、強い後悔の中にいた私には、理沙の決断に抗う力はなかった。

「プロポーズ、受ければいい」

これが、私が、精神的には、理沙を手放した瞬間だったのだと思う。

そう言った私の顔を見て、理沙は頷いた。

「ありがとうございます」

笑顔ではなかった。

まだ泣いている状態のまま。

嬉しそうでもなかった。

眉根を寄せ、涙で崩れた表情。結婚に向かう、幸せな女性の顔ではなかった。

はっきり書くなら、その表情から、私が読み取れた、理沙の感情というのは、”自己嫌悪”だった。

結婚を決めるなんて、そんな顔でするものなのか…。

そんな気持ちで、結婚するのか…。

そして、理沙をそういう状況に追い込んでしまったのは多分、私だ。

だから、本当は何か言ってやるべきだったのだと思うのだが。

もっと気持ちよく結婚に向かえるように、してやるべきだったのだが。

せめて、そのくらいのこと、してやれればよかったのだが…。

そんなこと、その時の私にできることではなかった。

私は、それ以上は、何も言えなかったし、理沙も、ただ、「ありがとうございます」と何度か繰り返しただけだった。


そして、その日、理沙との主従関係を解消することを、理沙は涙でグチャグチャになった顔で、私は、多分無表情で、お互いに確認した。

理沙が、私の奴隷ではなくなった日だった。

テーマ:主従関係 - ジャンル:アダルト















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このブログについて

著者:vet

 ※このブログには、エロ動画やエロ画像、官能小説のようなものは一切無いが、内容が内容なので、SMや主従関係という、恋愛の形に不快感を覚える人、違う世界の話だと思う人などはすぐにブラウザを閉じて、このブログのことは忘れるように。

 私は以前、牝奴隷を飼っていた元”御主人様”。でも、今は飼っていない。奴隷を手放した経緯とか、過去の奴隷の話、そのときの気持ち、奴隷への想い、今だから考えられること、言えること。書きたいことを書きたいままに綴るブログ。
 また、今、これを書いている私の現状について、ご質問を頂くことが結構あるので、それについては、
 ◆私について
というカテゴリの中に、”現状の私”というエントリーにして書いておいた。このカテゴリには、私自身のこと(私の好みや、調教の方針など)をメインに書いているエントリーを入れてあるので、興味のある方がいるかどうかは分らないが、もしも気になるなら、見ていただければと思う。

 SM話はストイックになりがちなので、多少軽いタッチのコラムも交えて書いてみようと思う。奴隷を飼っていない今だから書ける御主人様の本音などをできるだけわかりやすく、そして正直に。今、奴隷になっている牝や、御主人様を探しているM女なんかには、御主人様の側の気持ちが少しは分かってもらえるかもしれない。ちなみに、私は理系的な思考傾向なので、考えすぎることが多く、そのために、なにやらややこしいことになることも多々ある。そのあたりも笑って読んでもらえれば、幸い。

 メールやコメントなども楽しみにしている。気軽な恋愛話、気楽なSM話から、SMや主従関係のこと、Mであることなどについての悩みや、相談、質問など、真面目なお話まで、どんなことでも、しっかり伺おうと思っている。恥ずかしいとか、こんなことを言っては変に思われるのではないか?とか、考えることもあるかも知れないが、私は、それなりに長くSMや主従関係の世界に居たので、それほど驚くことは無いと思うし、他人と変わっていることでも、変だとは思わないできちんと伺うつもりなので、メールやコメントは、遠慮せずに送ってくださればと思う。

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